親の限界

親は、子どもが小さければ小さいほど子どもを完全に守ることができる。しかし集団生活に子どもが参加するようになると、親は次第に子どもを守れなくなる。これが子どもの自律の第一歩につながる。

 乳幼児期の子どもは、親に守ってもらわなければ生きることができない。乳幼児と親は心理的には一体と言っても過言ではない。乳幼児期の子どもは、子どもの不快感を親が我がことのように感じ、不快から子どもを回避させることが親子関係には欠かせないものである。

 しかし子どもが集団での活動を経験するようになると、親子が一体では子どもの成長には良くない。子どもの勉強ができなくても、親が代わりに勉強するわけにはいかない。子どもが失敗しても、代わりに親が解決してあげることもできない。

 集団の中で子こどもが失敗したとき、親ができることは子どもとの心理的な一対感から抜け出し、子どもとの適切な心理的距離をとり、見守り耐えることしかない。子どもの失敗は子ども自身に解決させるしかない。それは親としては辛いことであり、親として成熟していないと出来ないことである。親は子どもの失敗を解決するのではなく、子どもの辛さを共感的に聞き、子ども自身が解決するのを見守るしかない。これが親の限界であり、子どもが自律にむかう第一歩ではないだろうか。

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