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診断基準について
2013年にDSMがⅤに改定され、それにともなって子どもの病名を「障害」から「症」に変更されました。診断に伴う親子のショックを和らげたり、「障害」という表現で、症状が固定してしまい改善しないと思われたりすることに対する配慮として変更されました。
<主な変更>
自閉性障害、広汎性発達障害→自閉スペクトラム症
注意欠陥多動性障害→注意欠如・多動症
言語障害→言語症
学習障害→学習症
DSM-Ⅳ
アメリカ精神医学会によって作られた診断基準。DSMは Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (精神科診断統計マニュアル)の略です。現在は第4版です。
これが最も世界的に有名で権威のある診断基準です。DSMの第1版は第二次世界大戦中に徴兵検査のために生まれたそうですが、1980年に出た第3版以降、世界的に有名な 診断基準となりました。その後1987年に第3版改訂版(DSM-Ⅲ-R)、1994年に第4版が発表され、今に至ります。
DSM(Ⅲ以降)の大きな特徴は、「操作主義」と言われるものです。つまり、診断する人の主観によって診断が左右されるのではなく、誰が診断しても同じ診断名に至る、客観的な診断基準だということです。
また、もう一つ大きな特徴は、分類にあたっては病気の原因を問わないということです。つまり、病気の原因が何かということはとりあえず考えず、表面にあらわれた症状だけを見て、分類しているということです。
このため、DSM-Ⅳには「神経症」という言葉は出てきません。「神経症」と言う言葉は病気の原因を想定した言葉だからです。「神経症」に相当するものとしてDSM-Ⅳでは、不安性障害、身体表現性障害、解離性障害、摂食障害、適応障害などの用語が使われています。
学習障害 DSM-Ⅳ
読字障害
- 読みの正確さと理解力についての個別施行による標準化検査で測定された読みの到達度がその人の生活年齢、測定された知能、年齢相応の教育の程度に応じて期待されるものより十分に低い。
- 基準Aの障害が読字能力を必要とする学業成績や日常の活動を著名に妨害している。
- 感覚器の欠陥が存在する場合、読みの困難は通常それに伴うものより過剰である。
書字表出障害
- 個別施行による標準化検査(あるいは書字能力の機能的評価)で測定された書字能力が、その人の生活年齢、測定された知能、年齢相応の教育の程度に応じて期待されるものより十分に低い。
- 基準Aの障害が文章を書くことを必要とする学業成績や日常の活動(例:文法的に正しい文や構成された短い記事を書くこと)を著名に妨害している。
- 感覚器の欠陥が存在する場合、算数能力の困難は通常それに伴うものより過剰である。
運動能力障害
- 運動の協調が必要な日常の活動における行為が、その人の暦年齢や測定された知能に応じて期待されるものより十分に下手である。これは運動発達の里程標の著名な遅れ(例:歩くこと、はうこと、座ること)、 物を落とすこと、不器用、スポーツが下手、書字が下手などで明らかになるかもしれない。
- 基準Aの障害が学業成績や日常の活動を著名に妨害している。
- この障害は一般身体疾患(例:脳性まひ,片まひ,筋ジストロフィー)によるものではなく、広汎性発達障害の基準を満たすものでもない。
- 発達遅滞が存在する場合、運動の困難は通常それに伴うものより過剰である。
コミュニケーション障害
- 表出性言語発達についての個別施行による標準化検査で得られた得点が、非言語的知的能力および受容性言語の発達の得点に比して十分に低い。この障害は、著しく限定された語彙、時制の誤りをおかすこと、または単語を思い出すことや発達的に適切な長さと複雑さを持つ文章を作ることの困難さなどの症状により臨床的に明らかになるかも知れない。
- 表出性言語の障害が、学業的または職業的成績、または村人的意志伝達を妨害している。
- 受容-表出混合性言語障害または広汎性発達障害の基準を満たさない。
- 精神遅滞や言語-運動または感覚器の欠陥、または環境的不備が存在する場合、言語の困難がこれらの問題に通常伴うものより過剰である。
- 受容性および表出性言語発達についての、個別施行による標準化検査で得られた得点が、非言語性知的能力の標準化法で得られたものに比して十分に低い。症状は、表出性言語障害の症状および単語、文章、特定の型の単語、例えば空間に関する用語の理解の困難を含む。
- 受容性および表出性言語の障害が、学業的または職業的成績、または対人的意志伝達を著しく妨害している。
- 広汎性発達障害の基準を満たさない。
- 精神遅滞や言語-運動または感覚器の欠陥、または環境的不備が存在する場合、言語の困難がこれらの問題に通常伴うものより過剰である。
自閉症 DSM-Ⅳ
自閉症障害
- (1)、(2)、(3)から合計6つ(またはそれ以上)、うち少なくとも(1)から2つ、(2)と(3)から1つずつの項目を含む。
(1) 対人的相互反応における質的な障害で以下の少なくとも2つによって明らかになる。
- 目と目で見つめ合う、顔の表情、体の姿勢、身振りなど、対人的相互反応を調節する多彩な非言語性行動の使用の著明な障害。
- 発達の水準に相応した仲間関係をつくることの失敗。
- 楽しみ、興味、成し遂げたものを他人と共有すること(例:興味のあるものをみせる,もって来る,指さす)を自発的に求めることの欠如。
- 対人的または情緒的相互性の欠如。
(2) 以下のうち少なくとも1つによって示される意志伝達の質的な障害。- 話し言葉の遅れまたは完全な欠如(身振りや物まねのような代わりの意志伝達の仕方により補おうという努力を伴わない)。
- 十分会話のある者では、他人と会話を開始し継続する能力の著明な障害。
- 常同的で反復的な言葉の使用または独特な言語。
- 発達水準に相応した、変化に富んだ自発的なごっこ遊びや社会性を持った物まね遊びの欠如。
(3) 行動、興味および活動の限定され、反復的で常同的な様式で、以下の少なくとも1つによって明らかになる。- 強度または対象において異常なほど、常同的で限定された型の、1つまたはいくつかの興味だけに熱中すること。
- 特定の、機能的でない習慣や儀式にかたくなにこだわるのが明らかである。
- 常同的で反復的な衒奇的運動(例えば、手や指をぱたぱたさせたりねじ曲げる、または複雑な全身の動き) 。
- 物体の一部に持続的に熱中する。
- 3歳以前に始まる、以下の領域の少なくとも1つにおける機能の遅れまたは異常
(1) 対人的相互反応における質的な障害で以下の少なくとも2つによって明らかになる。
- 対人的相互作用
- 対人的意志伝達に用いられる言語
- 象徴的または想像的遊び。
- この障害はレット障害または小児期崩壊性障害ではうまく説明されない
アスペルガー障害 DSM-Ⅳ
- 以下の少なくとも2つで示される、社会的相互作用における質的な異常
- 視線を合せること、表情、身体の姿勢やジェスチャーなどの多くの非言語的行動を、社会的相互作用を統制するために使用することの著しい障害
- 発達水準相応の友達関係をつくれない
- 喜びや、興味または達成したことを他人と分かち合うことを自発的に求めることがない(たとえば、関心あるものを見せたり、持ってきたり、示したりすることがない)
- 社会的または情緒的な相互性の欠如。
- 以下の少なくとも1つで示されるような、制限された反復的で常同的な、行動、興味および活動のパターン
- 1つ以上の常同的で制限された、程度や対象において異常な興味のパターンへのとらわれ
- 特定の機能的でない日課や儀式への明白に柔軟性のない執着
- 常同的で反復的な運動の習癖(たとえば、手や指をひらひらさせたりねじったり、または身体全体の複雑な運動)
- 物の一部への持続的なとらわれ
- この障害は、社会的・職業的あるいは重要な機能の領域において、臨床的に明白な障害を引き起こす
- 臨床的に明白な言語の全般的な遅れはない(たとえば、単語が2歳までに使用され、コミュニケーションに有用な句が3歳までに使用される
- 認知能力発達または年齢相応の生活習慣技能、適応行動(社会的相互作用以外)、および環境への興味の小児期における発達に、臨床的に明白な全般的な遅れはない
- 他の特定の広汎性発達障害や精神分裂病を満たさない
注意欠陥多動性障害 DSM-Ⅳ
- (1)、(2)のどれか
(1) 以下の不注意の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月以上続いたことがあり、その程度は不適応的で、発達の水準に相応しないもの○不注意
- 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な過ちをおかす。
- 課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難である。
- 直接話しかけられたときにしばしば聞いていないように見える。
- しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることができない(反抗的な行動、または指示を理解できないためではなく)。
- 課題や活動を順序立てることがしばしば困難である。
- (学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事する事をしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う。
- 物の一部への持続的なとらわれ
- (例えばおもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、道具など) 課題や活動に必要なものをしばしばなくす。
- しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる。
- しばしば毎日の活動を忘れてしまう。
(2) 以下の多動性―衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヶ月以上持続したことがあり、その程度は不適応的で、発達水準に相応しない○多動性- しばしば手足をそわそわと動かし、またはいすの上でもじもじする。
- しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる。
- しばしば、不適切な状況で、余計に走り回ったり高い所へ上ったりする(青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかも知れない)。
- しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない。
- しばしば「じっとしていない」または、まるで「エンジンで動かされるよう」に行動する。
- しばしばしゃべりすぎる。
○衝動性- しばしば質問が終わる前に出し抜けに答え始めてしまう。
- しばしば順番を待つことが困難である。
- しばしば他人を妨害し、邪魔する(例えば会話やゲームに干渉する)
- 多動性・衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳以前に存在し、障害を引き起こしている。
- これらの症状による障害が2つ以上の状況(学校や仕事など)と家庭において存在する。
- 社会的、学業的または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠が存在しなければならない。
- その症状は広汎性発達障害、精神分裂病、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の精神疾患(例:気分障害、不安障害、解離性障害、または人格障害)ではうまく説明されない。
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